変わった昆虫、毛じらみの正体

人間に寄生するしらみの仲間

しらみとひと言でいっても、その種類は500種類にものぼると言われています。
そしていろいろな哺乳動物に寄生して吸血しています、人に寄生するものはヒトジラミ科ということになっていますが、ヒトジラミとケジラミの2種類がいます。
fig-02-02[1]ヒトジラミには、アタマジラミとコロモジラミに分けられます。つまり人に寄生するのは、毛じらみの他に、アタマジラミとコモロジラミということになります。
しらみは、面白いことに住処をえり好みします。ヒトに寄生するしらみは、毛じらみ・アタマジラミ・コロモジラミだけで、その他の犬のしらみなどがヒトに寄生することはありません。
また、しらみの種類によって感染に特徴が見られ、アタマジラミの場合は12歳以下の児童、特に長髪の女児に寄生率が高い傾向が見られています。一方、毛じらみは性行動が盛んな年齢層が中心に感染しています。コロモジラミは、衣類の着替えをあまりしないような集団に目立っています。コモロジラミは発疹チフスを引き起こすものですが、戦後に進駐軍が万能殺虫剤DDTを使った効果と日本人の毎日下着を取り替え、風呂に入るといったようなきれい好きの習慣が影響してほとんど見られなくなっています。 大きさは、アタマジラミの成虫は、2~3mm程度で毛じらみよりもひとまわり大きくなっています。体は灰白色で血を吸うとその部分が黒っぽく見えます。コロモジラミはアタマジラミよりさらにひとまわり大きく、吸血時以外は下着等に付着しています。

しらみはちょっと変わった吸血昆虫

bug_hitosujishima_ka[1]吸血昆虫というと、蚊、ノミといったところをイメージすると思います。
血を吸うと赤くなるというのは蚊やノミと同じなのですが、蚊は飛ぶことができるし、ノミは大きく跳ねることができます。
それに比べしらみは大きく動けないので、陰毛等の直接接触か、タオルや寝具等を通しての間接的な感染ルートとなります。 しかし、ノミが成虫のみが吸血し、蚊はメスの成虫のみが吸血するのに対し、しらみはオスもメスも、成虫も幼虫も吸血します。ある意味一番図々しい吸血昆虫かもしれません。

意外と侮れないしらみの生命力

しらみはヒトから離れると1~2日で死んでしまうという脆さをもっていますが、一方、プール等の水中でも丸1日生き続けることができます。
お風呂に入ったり、普通のシャンプーしても死にません。さすがに熱湯につければ卵まで含めて1分以内にすべて死滅します。乾燥機では70℃で10分、55~60℃で30分処理すると死滅効果があるといわれています。
タオルなどは洗濯前に60℃のお湯に5分以上浸けたり、寝具や床をこまめに掃除機かけたりすることで、感染する確率を減らすことができます。